【こんな症例も治りますシリーズ 798】【セカンドオピニオン診療】『 難治性角膜潰瘍のワンちゃん 』も適切な診断と治療で治します

なかなか治らなかった目の傷が、しっかり治ったトイプードルさんのお話

 

 

犬 トイプードル 7歳 オス(去勢手術済み)

 

 

【 3週間ほど前から左目が開けづらい、涙が増える、前足で気にしてこする、といった症状が続いています。他院さんで治療をしてもらっていましたが改善しません 】とのことで当院に来院されました。

 

 

 

◆◆ まずは角膜の状態をチェック

 

 

■ 当院では最初に 、一般眼科検査とフルオレセイン染色検査 を実施しました。

 

■ これは、専用の黄色い染色液を目の表面にのせて青い特殊な光を当てることで、角膜(黒目)に傷がある部分だけが光って見える検査です。

 

⇒  検査の結果、角膜に傷が確認でき、感染の可能性も高いと判断しました。

 

 

↓  初診時のフルオレ角膜染色写真

↑ 上の写真の緑色の部分が『角膜潰瘍』です。

 

◆◆ しっかり抗菌治療からスタート

 

 

 

■ 適切な抗菌薬の点眼と内服を行い、こすらないように管理しながら経過を追いました。

 

■ 徐々に改善はしていきましたが、治癒スピードが少しゆっくりでした。

 

 

 

 

◆◆ 犬用のコンタクトレンズを使用

 

 

■ そこで今回は『 犬用のコンタクトレンズ 』を装着しました。

 

 

■ これにはこんなメリットがあります。

 

 

- まばたきによる摩擦から角膜を守る

- 表面の保湿環境を良い状態に保つ

- 薬の効果が安定して届きやすい

 

 

⇒  これを装着してから、一気に治るスピードが上がりました!

 

 

 

 

◆◆ 3ヶ月後の再診

 

 

■ 再度フルオレ染色を行った結果、傷は確認できないところまで改善!

 

■ ほんのわずかに上皮の回復途中の部分は見られましたが、これはもう治癒の仕上げフェーズ(局面)で良くある生理的な範囲です。

 

 

↓  3ヶ月後のフルオレ写真

 

↑ 上の写真の中央部分に、治療前にあった『緑色部』が消えて角膜潰瘍が治っています。

 

◆◆ 現在のケア

 

 

• エリザベスカラーは 終了!

• あとは 保湿系の点眼を続けるだけ で大丈夫な状態になりました。

 

 

 

■ 再発予防のために、乾燥環境にならないよう保湿をサポートしながら様子を見ていきます。

 

 

 

 

◆◆ さいごに

 

 

 

■ 目の症状は痛みも伴いやすく、悪化させると長引きやすいトラブルですが、適切な評価と治療 + 角膜保護の工夫で大きく回復のスピードが変わります。

 

 

■ 涙が増える、片目だけ細める、こすってしまう、
そんなサインがある時は、できるだけ早めの受診をおすすめします。

 

 

 

 

獣医師 伊藤雅志

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